前回の記事では、Jリーグの市場規模と収益構造を読み解いた。
今回はJリーグクラブの収入と支出の関係を見てみよう。
広告料収入はクラブの価値を表すのか?
収益構造の中で最も大きな割合を占めるのが広告料。
ユニフォームスポンサーやスタジアム看板が主な広告料収入となる。
本来、広告料金は露出数が多いほど高価になる。
タイトルがかかった試合はTV中継されるので、つまり強いチームほど露出数は増える。
スター選手が多く在籍する人気クラブは当然、注目を集めるので露出数が増える。
また、アジアチャンピオンズリーグへの出場権を持つチームは国内リーグとユニフォームのデザインを変えるのが主流のため、スポンサー数を増やすことも可能である。
ただし、親会社による実質赤字補填の要素が強い広告料収入。
2014年度の広告料収入トップ3は
- 名古屋 24.7億円(対売上比率60.0%)
- 大宮 24.0億円(対売上比率70.5%)
- 浦和 23.8億円(対売上比率39.6%)
資金力という観点では、巨大な親会社を持つこともクラブの競合優位性のひとつである。
と言いたいところであったが…。
チーム人件費=広告料収入
「潤沢な資金=選手・監督の獲得費用」「資金が潤沢なクラブ=ビッグクラブ」
一般的にはこうなるだろう。ただしJリーグはそう簡単な解釈にならない。
まず先に2014年度のチーム人件費を見てみよう。
選手・監督の年棒合計だ。この費用が高いクラブほどビッグネームの選手が多いはずだ。
選手・監督の年棒合計だ。この費用が高いクラブほどビッグネームの選手が多いはずだ。
- 柏 20.59億円
- 浦和 20.54億円
- 名古屋 20.53億円
広告料収入とチーム人件費にはどういう関係があるのか?
一般的に事業計画を作る時は、すべての収益を見込んでその範囲内で費用を算出する。
収益源は順位や天候に左右され易い入場料よりも、広告料の方がシーズン開幕前に見込みは立て易い。つまり確実性の高い収益源でチーム人件費を組んでいることになる。
なお、柏の広告料収入は19.4億円なのでこの時点で1億円ほど足が出ている。
赤字覚悟の挑戦だったのか?実際に△0.3億円の営業損失となっている。
潤沢な資金を誇る大宮は毎年タイトル争いとは無縁、なんとか残留を続けていたが遂に2014年シーズンJ2へ降格した。
大宮のチーム人件費は17.2億円。横浜M(17.6億円)・F東京(17.0億円)と同規模。
ちなみに優勝した広島は13.4億円であった。
入場料収入を増やす方法は
入場者数が増えなくても入場料収入は増える!?(次回へ続く)