Jクラブ個別経営情報開示資料(2014年度)に見るビッグクラブへの道のりとは。
ここまでのあらすじ
今回は入場料収入について、いかに収益力を高めるのか考えてみよう。
これは各クラブの共通課題だが、Jリーグ自体の課題でもある。
Jリーグクラブのチケット戦略
2014年のJリーグ全体の観客動員数は約953万人(J1約527万人・他J2、J3)
クラブごとの集客力の格差は大きく、J1最大動員数を誇るのは浦和60万人、続くのはF東京42万人、横浜M39万人。一方で柏18万人、最小は徳島15万人となっている。
上位3クラブの入場者数(A)・入場料収入(B)・平均単価(B÷A)をまとめたものが下の図。
ここでひとつの事実に気がつく。
入場者数では横浜Mを上回るF東京だが、入場料収入は逆転される。
要因は無料招待数の差とチケット単価の差と推測される。
もちろん、浦和の圧倒的な収益力に改めて気がつくとは思うが。
座席を売るな、価値を売れ
価値を売るという発想のヒントは、ベストセラーになった書籍「100円のコーラを1,000円で売る方法」に記されている。
「普通席xx円・指定席xx円」でチケットを売ることを考えていてはいけない。
「最高の環境で最高の試合をxx円で観戦する」価値を売ることを考える必要がる。
先ほどの入場者数上位3クラブのうち、F東京と横浜Mは陸上競技場を使用している。
浦和のような臨場感あるサッカー専用スタジアムがあれば…。
ただし、経営とは今持つ資産をどう活用するのか、未来の資産をどう作るのかである。
無い物ねだりばかりしていても仕方ない。
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2002年FIFA World Cup™ではイングランド代表ベッカムもプレーした埼玉スタジアム |
2002年FIFA World Cup™決勝戦の舞台となった横浜国際総合競技場(日産スタジアム) |
レガシーを簡単に捨てられない、捨ててはいけないものもある。
横浜Mのホームスタジアム、日産スタジアムは周辺環境も含め都市計画の一部として整備されてきた経緯がある。スタンドからピッチが遠い、傾斜が緩やか過ぎる、色々と言われているがこのスタジアムから出て行くことは考えられない。
ホーム主催試合は年間17試合。
毎試合とはいかなくとも陸上トラックを覆う大掛かりな演出をするのも良いだろう。
W杯決勝戦のような雰囲気が観客を呼び込むのだから。
スマートスタジアムの時代
ドイツ、ドルトムントはジグナル・イドゥナ・パルクでの“BVB”-WiFiが整備され、スタジアムの全入場者が無料でインターネットを利用し、あらゆるデータサービスにアクセスできるようになると発表した。